直方簡易裁判所 事件番号不詳 判決
主文
被告人田中進人を懲役一年に
同井手口隆治を懲役八月および罰金二千円に
同小方政喜を懲役十月および罰金五千円に
それぞれ処する。
但し被告人田中進人、同井手口隆治に対してはこの裁判確定の日から三年間右懲役刑の執行を猶予する。
被告人井手口隆治、同小方政喜において右罰金を完納することができないときは金二百円を一日に換算した期間当該被告人を労役場に留置する。
訴訟費用中弁護人吉永嘉吉に支給した分は被告人井手口隆治の負担とする。
理由
第一被告人田中進人は
(一) 昭和三十二年七月三十一日午後七時頃福岡県鞍手郡宮田町大字大蔵西区石炭商友安広美方車庫において同人保管その所有にかかる三輪車タイヤーチユーブホイル付一式を
(二) 同年八月二十三日午後四時頃同郡同町上大隈道路上において右友安広美保管その所有にかかる三輪車タイヤーチユーブホイル付一式を
それぞれ窃取し
第二被告人井手口隆治は前記第一の(二)掲記の三輪車タイヤー一式を被告人田中進人が窃取したものであることの情を知りながら同月二十三日午後六時頃同郡若宮町大字福丸萱島泉三郎方において同人に金一万五千円で売却の斡旋をして贓物を牙保し、第三、被告人小方政喜は、
(一) 昭和三十二年八月十日午後七時頃前記第一の(一)掲記の三輪車タイヤー一式を被告人田中進人が窃取したものであることの情を知りながら同郡鞍手町大字室木山田昌行方において同人に金一万四千円で売却の斡旋をして贓物を牙保し
(二) 同日山田昌行より右タイヤー一式代金一万四千円を受取り被告人田中進人のため預り保管中同月十三日頃同郡宮田町大字飯之倉二二六番地の自宅においてほしいままにこれを着服して横領し
たものである。
(証拠説明は省略する。)
法律に照すと被告人田中進人の判示第一の(一)(二)の所為はいずれも刑法第二百三十五条に、被告人井手口隆治の判示第二の被告人小方政喜の判示第三の(一)の各所為はいずれも刑法第二百五十六条第二項罰金等臨時措置法第三条第一項第一号に、同被告人の判示第三の(二)の所為は刑法第二百五十二条第一項にそれぞれ該当するところ被告人田中進人の以上の罪は同法第四十五条前段の併合罪であるから同法第四十七条第十条によつて犯情の重い判示第一の(一)の罪の刑に法定の加重をした刑期範囲内で同人を懲役一年に、被告人井手口隆治を所定刑期罰金額の範囲内で懲役八月および罰金二千円に更に被告人小方政喜の以上の罪は同法第四十五条前段の併合罪であるから懲役刑について同法第四十七条第十条を適用して重い判示第三の(一)の罪の刑に法定の加重をした刑期および罰金については所定額の各範囲内で同法第四十八条第一項に従い同人を懲役十月および罰金五千円にそれぞれ処する。
但し被告人田中進人、同井手口隆治に対しては情状により同法第二十五条第一項第一号を適用してこの裁判確定の日から三年間右懲役刑の執行を猶予し被告人井手口隆治同小方政喜において右罰金を完納することができないときは同法第十八条に則り金二百円を一日に換算した期間当該被告人を労役場に留置する。
訴訟費用は刑事訴訟法第百八十一条第一項本文に従つて弁護人吉永嘉吉に支給した分は被告人井手口隆治の負担とする。
よつて主文のように判決する。(昭和三二年一〇月一〇日直方簡易裁判所)